トニー・ボールナール
オーナーであるトニー・ボールナールは、ジュラのスター⽣産者フィリップ・ボールナールを親に持つ代々 ヴィニョロンの家系で育った。幼い頃から⽗親のように⾃らのワインをつくってみたいと思っていた彼は、 1998 年⾼校を卒業後、Lycee Viticole de Beaune(ボーヌ醸造学校)でワイン全般を学び、2002 年にはマコンのワイン学校(BTS)で 1 年間栽培醸造、そしてもう 1 年はパリで経営を学ぶ。2004 年 1 ⽉、BTS 卒 業後、語学の勉強も兼ねて、ナチュールとは対極的な栽培⽅法・醸造テクニックを経験するために、半年間 オーストラリアの⼤⼿ワイナリーで研修し、その後すぐにアメリカに渡り、ナパのブティックワイナリーで 半年間研修をする。
2005 年3 ⽉アメリカから帰って来た彼は、⽗親のフィリップが後継ぎのために⽤意をし ていたドメーヌのポストを断り、⾃らワイナリー⽴上げの資⾦を貯めるために別の道を歩む。そして、2005 年 4 ⽉からジュラ・ボワソンという酒類販売会社の営業として働く。だが、仕事は 2 年と続かなかった。 2007 年に会社を退職してから 4 年間は、ボジョレー、サンジョセフ、リヨン、 サンテ=ティエンヌのワイ ンショップを転々とするが、なかなかうまく資⾦を貯めることができなかった。
30 歳までにワイナリーを⽴ ち上げるという夢が叶わなかった彼は、もう⼀度ゼロからチャレンジする覚悟で 2011 年 4 ⽉フィリップの 元に戻る。⽗親のドメーヌを⼿伝いつつ、⼀⽅で⽗親から畑を譲り受けたり、あるいは⾃ら購⼊しながら、 少しずつドメーヌ⽴上げの準備を整える。そして、2013 年 1 ⽉、ついにドメーヌをスタートさせる
フランス東部、ジュラ地⽅のアルボワの街を南に 2 km ほど下ると、標⾼ 400 m 以上の⾼原に囲まれた⼩さな村ピュピランがある。そのピュピラン村の⾼台にフィリップ・ボールナールのドメーヌがあり、現在トニーは⽗親のフィリップとカーヴを共有している。畑の総⾯積は 2.5 ha、南から南⻄の丘の斜⾯に点在する。寒冬暑夏の⼤陸性気候だが、⾼地に連なる⼟地は⾼⼭気候の要素が強く、春と秋が短い。ジュラ⾼原最⼤の⽀脈を背にして森林地帯が広がり、深い⾕が南東に向いているため、ブドウ畑は厳しい冬の寒さと夏季の乾燥に耐えることができる。