カヴァロット
バローロで初めて有機栽培を導入したのがこのカヴァロット。
「カヴァロット」は 1928 年から 5 世代続く老舗。古典 バローロと言えば必ず名前が挙がる名家。当主は地 元で偏屈者として有名な「ジュゼッペ」。
1948 年には現在のカンティーナが完成し「カヴァロッ ト」の名前でバローロの販売を開始。1967 年には「ブ リッコ・ボスキス」の畑名が認められた。
『バローロの中心にあるブリッコ・ボスキス。地質的に は 2 億 3,000年前の漸新世に起源を持つ青色マー ルと粘土石灰の混合土壌』
栽培を担当する「アルフィオ」は地質学者でもあり、 バローロの地質を研究している。 「バローロ」と「ラ・モッラ」はトルニアン期(700 万年 前)に起源を持ち砂質と粘土石灰の混合土壌で比 較的軽い土壌。セッラルンガとモンフォルテはランギ アン期(1,300 万年前)の土壌でマンガンや鉄が多く 含まれていて重たい土壌。
『トルニアン期の新しい土壌とランギアン期の古い 土壌がぶつかる場所がブリッコ・ボスキス』
60年代から有機栽培 32~38hl/ha と収量は少ないが、収量制限はしてい ない。樹齢の高さと痩せた土壌の影響で収量が自然に落ちているだけ。
「カヴァロット」はバローロで最も早く有機栽培を導入し たことでも知られている。1960 年代、農業の効率化 が始まり農薬が全盛期の時代だった。
『当時は有機栽培の畑は1ヶ所も無かった。トリノ大 学とサン・ミケーレ研究所との共同研究で循環型農 業を目指し完全有機栽培を導入した』
農民として自分達の土地を健全に残していくことを考 えてのことだった。今では更に進化していて除草剤は 勿論、殺虫剤や防カビ剤、ボルドー液も使わない。
『銅も硫黄も使わない。使うのは海藻を乾燥させて 水に溶かしたものやヴィネガー、蜂蜜等。ベト病も全て天然の素材で対応する』
下草はある程度まで生やし、一定の高さまで育つと 手作業で刈りとり、畑を耕すことなく放置しておく福岡正信が提唱した不耕起栽培を実践している。
『畑を耕す必要も無い。土壌が活性化すればミミズ やバクテリアの活動で土壌は自然と酸素と窒素を得てバランスをとる』