ヴァレリー・クレージュ

ヴァレリーは1973年6月28日生まれ、Tarbesという町に生まれました。ヴァレリーのご両親はワイン関係ではありませんでしたが、ワイン造りにとても興味があり、トゥールーズ大学醸造学部を卒業。オノロジストとしてプロヴァンスのワイナリーの仕事をしておりましたが、自分自身のワインを造りたくなり、生まれ故郷の南西地方を選びました。ピレネーの近くで22haの畑を購入。
ご主人も同じオノロジストなので、時々彼女のDomaineを手伝ってくれます。ヴァレリーはLeoちゃんという9歳の男の子のお母様で、人生の中で2つの空間を大切にしております。2つの家があり、それを半分半分行き来しております。1つは醸造家としてカオールの家で過ごしワインを作ります。もう1つは母として子供との時間を持つためプロヴァンスの家で過ごします。こういう新しいスタイルの生き方は、何だか素敵ですね。
今、フランスでは女性の醸造家が増えておりますが、フランスの子育て政策が充実しているので、家庭との両立が可能になりました。これからももっと女性の醸造家は増えるでしょうね。
前の畑の所有者はbioではありませんでしたが、彼女が買ってからビオディナミに変更。3年目の2022年からはエコセールもデメテールも正式にbioとして認定します。ラッキーな事に1999年からカオールでビオディナミでワイン造りをしている大御所Domaine Cosse Maisonnesuveのオーナー、マチュー・コス氏の協力を得て始める事が出来ました。彼のワインは実にエレガントで味わい深いスタイル、それにヴァレリーの女性的感性が加わったナチュラルワインです。
彼女に質問しました。「何故、ビオディナミを選んだのですか?」その答えがいかにもヴァレリーらしく「私にはサプリメントだから、無くてはならない存在だから。」 色んな醸造家と出会いましたが、こういう答えは初めてです。
とてもチャーミングだし、気取りがないし、自然体に聞こえます。
ヴァレリーの買った畑は東側の大陸性気候。そこの石灰質土壌のマルベックはエレガントで、重たいマルベックではありません。ミネラルたっぷりのブドウです。(2021.10.29 第2回目訪問 ディオニー新井順子)