オリヴィエ・カルル
オリヴィエのワインの魅力は、何といってもその類まれなエレガントさに尽きます!
オリヴィエのドメーヌは、アルザスの中心都市であるストラスブールとコルマールを結ぶワイン街道の中程に位置する村、「ダンバッハ・ラ・ヴィル」にあります。
ダンバッハは、ローマ時代よりぶどう栽培が行われている伝統ある村で、一番の特徴は花崗岩の土壌にあります。それには象徴的なモニュメントがあり、1323年に建設された厚い花崗岩の壁による城壁です。この花崗岩が、ワインに華やかさをもたらしてくれます。
もうひとつは、とても乾燥した気候で、アルザスの特徴でもあるボトリティスが殆ど付かないことから、ぶどうの成熟期にじっくりと健全にぶどうが完熟するという点です。したがって、辛口ワインの生産にはとても向いたテロワールであると云えます。
現在ワイン造りを行うオリヴィエは、7代目に当たる伝統ある家系の育ちです。20世紀初頭、祖父母に当たるマリールイーズとアドルフの時代には複業農業を営んでおりました。つまり、羊飼いをしたり、家畜を飼ったり、野菜の栽培をしたりしながら、ぶどう栽培を行いワインを造っていたのです。
元々は造ったワインを樽に詰めて売っていましたが、1923年、当時としてはとても珍しかった、瓶詰めで販売することを始めたところ、地域のレストランでとても好評を博しました。1960年代には、父アンドレが品質の高いワインを瓶詰めし、ドメーヌに人を招き試飲会を開催したところ、大繁盛となりました。
オリヴィエは2000年からドメーヌの仕事に携わり始め、2004年19歳の時にワイン造りを父アンドレから引き継ぎました。
オリヴィエは、農薬がぶどうの栽培に悪影響を与えているのに気付き、化学合成農薬の使用を減らしていきました。そして完全に有機栽培に移行し、2015年ヴィンテージからラベル上にも「AB認証」と「エコセール認証」を表示し始めました。
またオリヴィエはヴァン・ナチュールの取り組みも始め、2015年ヴィンテージで初めて酸化防止剤を一切使用しないキュヴェを造り出しました。その働きが評価され、2016年からはビネール率いるピルーエットのワインも造りました。
オリヴィエは一部の例外を除いて、現在亜硫酸(SO2)を添加しないワイン造りを貫いております。それにもかかわらずオリヴィエのワインがこれ程までにエレガントで安定した味わいなのは、何故なのでしょうか?
それは、時間を掛け、ワインが美味しくなるまでじっくりと待つ、という事に尽きるでしょう。
オリヴィエ・カルル、またひとつ存在感のある生産者の登場です。